Classici giapponesi con furigana
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あのかお
あの顔
林 不忘
Leggi あの顔 (あのかお) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.813 caratteri · 30 schermate
「おお、ひどい吹き降り!」
膳を引きに、母家から、おひさが駈け込んで来た。
「まあ、この恰好を御覧下さいまし。傘は、風にとられるのでさされませぬ。」
そう言って、かぶって来た風呂敷きを取って笑ったが、
「おや、御気分でもおわるいのでございますか。ちっとも召上らずに。」
「何ですか、おなかが一ぱいなんですよ。」
おひさを失望させまいとして、お久美が、つづいて何かつけたそうとしたとき、
「はなれのお客さまあ!」
大声が、飛びこんで来た。おひさの家の漁師のひとりだった。江戸から、上庄の旦那の庄吉がお久美を迎えに来て、いま着いたところだという、およそ意外な知らせだった。
「わしが、出水の助けに行くべえと、土間で蓑を着ているところへ、いきなりおもて口から顔を出して、おれぁ庄吉だ、お久美を迎えに来たというでねえか。へえらねえで、軒下に立って、お待ちでごぜえます。」
お久美は、突っ立つと同時に、濡れるのも構わず、庭を横切って、母屋へ走っていた。
「来るならくると前もって一筆知らせてくれればいいのに。」
石につまずいてよろけながら、そう考えた。
「きっと、不意に来て驚かすつもりなのでしょう。