Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるかんぬしのはなし

ある神主の話

田中 貢太郎

Leggi ある神主の話 (あるかんぬしのはなし) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5116 caratteri · 10 schermate

Aozora Bunko

「そうすると、その人はどうなる」

「その人間は死ぬるが、私がその体を借りるから、他の人には判らない」

「そんなくだらんことは廃せ、やはり今までどおりで飲もうじゃないか」

勘作は何時の間にか睡って水の男が帰ったのも知らなかった。そして、朝になって水の男の云った詞をおもいだしたが、気の広い勘作はすぐ忘れてしまって漁に往き、午飯に帰って飯をすまし、庭前の柿の立木に乾してある投網の破れ目を繕うていると、家の傍の路を一人の旅人が通って往った。勘作はふと水の男が笠を落すと云ったことを思いだして旅人のほうに眼をやった。と、さらさらと風が吹いて来て旅人の冠ていた笠が、ひらひらと飛んでそれが湖の水際に落ちた。と、旅人は慌てて水際へおりて往こうとした。勘作ははっと思った。彼は走って往って大声で止めた。

「おい、おい、水へ入ってはいかん、魔物が棲んでおるから引込まれる」

旅人は水の中に足を入れようとして止めた。

「あぶない、あぶない、そこには魔物が棲んでおる」

旅人は笠をそのままにして、路へあがって来て勘作に礼を云ってさっさと前方へ往ってしまった。

水の男は勘作の顔を見るなり怒鳴りだした。