Classici giapponesi con furigana
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うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
Leggi うすゆき抄 (うすゆきしょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.454 caratteri · 59 schermate
ので、わずかな難儀ですむなら、手荒な山武士に拐わかされてみたいとか、すぐ生返れるのなら、大太刀で思うさま斬られてみたいなどと思っている。
「多聞院日記」には、天文十年の秀吉の島津攻めに、堺商人の女房や娘が主人や父といっしょに面白ずくに従軍し、戦場の惨虐な光景に恍惚となるくだりが見えている。戦争とか、美とか、はげしい恋愛とか、そういう苛烈なものがなければ生甲斐を感じられない。いったん恋愛したとなると、あらゆる障害を乗越えて、ひたすら愛人のそばに身を置こうとする。相手が島流しにでもなれば、そこまで出掛けるし、牢に入れられれば、牢格子だけでも見に行かずにはおかない。一身の成行も肉親の悲嘆もおかまいなく、愛本来の論理にしたがって脇目もふらずに突進し、不朽の魂をつくりあげるといったぐあいなのである。
行子もまた冒険好きな女流一般の例に洩れず、豊富すぎる生活の滓と淀みにうんざりし、全身全霊でぶつかって行けるような境遇を求めていたのだったから、うってつけの排け口が見つかったというところだろうが、たった一度、渡し舟に乗りあわしたというだけの男に、後に見る行子ほどの骨の硬い女性が、いきなり夢中になってしまうというようなことはありそうにもない。