Classici giapponesi con furigana
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おぎん
おぎん
Leggi おぎん di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5235 caratteri · 11 schermate
じょあん孫七は、苦々しそうに隣の妻を振り返りながら、癇高い声に叱りつけた。
「お前も悪魔に見入られたのか? 天主のおん教を捨てたければ、勝手にお前だけ捨てるが好い。おれは一人でも焼け死んで見せるぞ。」
「いえ、わたしもお供を致します。けれどもそれは――それは」
おすみは涙を呑みこんでから、半ば叫ぶように言葉を投げた。
「けれどもそれははらいそへ参りたいからではございません。ただあなたの、――あなたのお供を致すのでございます。」
孫七は長い間黙っていた。しかしその顔は蒼ざめたり、また血の色を漲らせたりした。と同時に汗の玉も、つぶつぶ顔にたまり出した。孫七は今心の眼に、彼の霊魂を見ているのである。彼の霊魂を奪い合う天使と悪魔とを見ているのである。もしその時足もとのおぎんが泣き伏した顔を挙げずにいたら、――いや、もうおぎんは顔を挙げた。しかも涙に溢れた眼には、不思議な光を宿しながら、じっと彼を見守っている。この眼の奥に閃いているのは、無邪気な童女の心ばかりではない。「流人となれるえわの子供」、あらゆる人間の心である。
「お父様! いんへるのへ参りましょう。お母様も、わたしも、あちらのお父様やお母様も、――みんな悪魔にさらわれましょう。