Classici giapponesi con furigana
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おじさんのはなし
おじさんの話
小山 清
Leggi おじさんの話 (おじさんのはなし) di 小山 清 (こやまきよし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.232 caratteri · 42 schermate
そして私達が配達から帰ってくる頃には、ひと眠りして起きたおじさんが、既に店の掃除をすましているのである。
私はその店にながく住みついたが、おじさんとはとりわけ親しくなった。配達の出入りの多い中で、お互いが古顔であった。親と子ほどに年がちがう。私は元来人づきの悪い、頑な性分で、すぐ人と気まずくなってしまうのだが、おじさんとはそんなことがなかった。私達はつまらないことで、よく諍をしたものだが、そのために互いの気持にこだわりが出来るようなことはなかった。ひとえに、おじさんの寛容な人柄のせいである。
おじさんは能登の七尾の人で、三十位のときに国を飛び出して東京へ来て、それ以来この職業に携わってきたのだという。明治十年の生れだと云うから、私達にとっては大先輩に当るわけである。またおじさんはかつて、小石川のどこやらの裏店に住んでいた、雌伏時代の菊池寛のもとに配達をしたことがあるそうである。おじさんの業界に尽瘁することも久しい。私は心中ひそかに、おじさんのために、こんな墓誌銘をさえ考案しているのだが。
「ここに配達夫礼次郎の墓あり。潔白なる生涯のしるし、肩紐と地下足袋を彫る。