Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Leggi おせん di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.074 caratteri · 148 schermate

Aozora Bunko

「――朝から晩まで、いいえ、それよりも、一生涯、あたしゃ太夫と一緒にいとうござんすが、なんといっても、お前は今を時めく、江戸一番の女形。それに引き換えあたしゃそこらに履き捨てた、切れた草鞋もおんなじような、水茶屋の茶汲み娘。百夜の路を通ったとて、お前に逢って、昔話もかなうまい。それゆえせめての心から、あたしがいつも夢に見るお前のお七を、由斎さんに仕上げてもらって、ここまで内緒で運んだ始末。お前のお宅にくらべたら、物置小屋にも足りない住居でござんすが、ここばっかりは、邪間する者もない二人の世界。どうぞ辛抱して、話相手になっておくんなさいまし、――あたしゃ、王子で育った十年前も、お見世へ通うきょうこの頃も、心に毛筋程の変りはござんせぬ。吉ちゃんと、おせんちゃんとは夫婦だと、ままごと遊びにからかわれた、あの春の日が忘れられず、枕を濡らして泣き明かした夜も、一度や二度ではござんせんし。おせんも年頃、好きなお客の一人くらいはあろうかと、折節のお母さんの心配も、あたしの耳には上の空。火あぶりで死んだお七が羨ましいと、あたしゃいつも、思い続けてまいりました。――太夫、お前は、立派なお上さんのその外に、二つも寮をお持ちの様子。