Classici giapponesi con furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Leggi おせん di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.074 caratteri · 148 schermate
「何、二十五両。――」
「江戸で名代の橘屋の若旦那。二十五両は、ほんのお小遣じゃござんせんか」
千吉はそういいながら、ふところ深くひそませた、おせんのふみを取りだした。
ありがたく存じ候 かしこ
せん より
若旦那さま
ふみのおもては、ただこれだけだった。
三
朝っぱらの柳湯は、町内の若い者と、楊枝削りの御家人と道楽者の朝帰りとが、威勢のよしあしを取まぜて、柘榴口の内と外とにとぐろを巻いたひと時の、辱も外聞もない、手拭一本の裸絵巻を展げていたが、こんな場合、誰の口からも同じように吐かれるのは、何吉がどこの賭場で勝ったとか、どこそこのお何が、近頃誰にのぼせているとか、さもなければ芝居の噂、吉原の出来事、観音様の茶屋女の身の上など、おそらく口を開けば、一様におのれの物知りを、少しも速く人に聞かせたいとの自慢からであろう。玉のような汗を額にためながら、いずれもいい気持でしゃべり続ける面白さ。中には、顔さえ洗やもう用はねえと、流しのまん中に頑張って、四斗樽のような体を、あっちへ曲げ、こっちへ伸して、隣近所へ泡を飛ばす暇な隠居や、膏薬だらけの背中を見せて、弘法灸の効能を、相手構わず吹き散す半病人もある有様。