Classici giapponesi con furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Leggi おせん di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.074 caratteri · 148 schermate
「ふふふ。つまらねえ隠し立ては止めねえか。いまもいった通り、おいらァおめえを、洗い立てるッてんじゃねえ。こっちの用で訊きてえことがあるんだ。悪いようにゃしねえから、はっきり聞かしてくんねえ」
「どんな御用で。……」
「おせんのとこへ、菊之丞が毎晩通うッて噂を聞き込んだんだが、そいつをおめえは知ってるだろうの」
こう訊きながら、鬼七の眼は異様に光った。
六
鬼七の問は、まったく千吉には思いがけないことであった。――子供の時分から好きでこそあれ、嫌いではない菊之丞を、おせんがどれ程思い詰めているかは、いわずと知れているものの、今では江戸一番の女形といわれている菊之丞が、自分からおせんの許へ、それも毎晩通って来ようなぞとは、どこから出た噂であろう。岡焼半分の悪刷にしても、あんまり話が食い違い過ぎると、千吉は思わず鬼七の顔を見返した。
「何んで、そんな不審そうな顔をするんだ」
「何んでと仰しゃいますが、あんまり親方のお聞きなさることが、解せねえもんでござんすから。……」
「おいらの訊くことが解せねえッて。――何が解せねえんだ」
「浜村屋は、おせんのところへなんざ、命を懸けて頼んだって、通っちゃくれませんや」