Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Leggi おせん di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.074 caratteri · 148 schermate

Aozora Bunko

太夫さんとこへお見舞に行くなら、日が暮れてからにしとくれよ。――ようッてば」

下剃一人をおいて出られたのでは、家業に障ると思ったのであろう。一張羅の羽織を、渋々箪笥から出して来たお花は、亭主の伝吉の袖をおさえて、無理にも引止めようと顔を窺き込んだ。

が、伝吉は、いきなり吐きだすようにけんのみを食わせた。

「馬鹿野郎。何をいってやがるんだ。亭主のすることに、女なんぞが口を出すこたァねえから黙って引ッ込んでろ。外のことならともかく、太夫が急病だッてのを、そのままにしといたんじゃ、世間の奴等になんていわれると思うんだ。仮名床の伝吉の奴ァ、ふだん浜村屋が好きだの蜂の頭だのと、口幅ッてえことをいってやがるくせに、なんてざまなんだ。手間が惜しさに見舞にも行かねえしみッたれ野郎だ、とそれこそ口をそろえて悪くいわれるなァ、加賀様の門よりもよく判ってるぜ。――つまらねえ理屈ァいわねえで、速く羽織を着せねえかい。こうなったり一刻だって、待てしばしはねえんだ」

お花の手から羽織を引ッたくった伝吉は、背筋が二寸も曲がったなりに引ッかけると、もう一度お花の手を振りもぎって、喧嘩犬のように、夢中で見世を飛び出した。