Classici giapponesi con furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Leggi おせん di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.074 caratteri · 148 schermate
「だが、いったいあいつは、何んだってあんな馬鹿気たことが好きなんだろう。爪を煮たり、髪の毛の中へ顔を埋めたり、気狂じみた真似をしちゃァ、いい気持になってるようだが、虫のせえだとすると、ちと念がいり過ぎるしの。どうも料簡方がわからねえ」
ぶつぶつひとり呟きながら、小首を傾げて歩いて来た松五郎は、いきなりぽんと一つ肩をたたかれて、はッとした。
「どうした、兄ィ」
「おおこりゃ松住町」
「松住町じゃねえぜ。朝っぱらから、素人芝居の稽古でもなかろう。いい若え者がひとり言をいってるなんざ、みっともねえじゃねえか」
坊主頭へ四つにたたんだ手拭を載せて、朝の陽差を避けながら、高々と尻を絡げたいでたちの相手は、同じ春信の摺師をしている八五郎だった。
「みっともねえかも知れねえが、あれ程たァ思わなかったからよ」
「何がよ」
「春重だ」
「春重がどうしたッてんだ」
「どうもこうもねえが、あいつァおめえ、日本一の変り者だぜ」
「春重の変り者だってこたァ、いつも師匠がいってるじゃねえか。今さら変り者ぐれえに、驚くおめえでもなかろうによ」
「うんにゃ、そうでねえ。ただの変り者なら、おいらもこうまじゃ驚かねえが、一晩中寝ずに爪を煮たり、束にしてある女の髪の毛を、一本一本しゃぶったりするのを見ちゃァいくらおいらが度胸を据えたって。