Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

おせん

おせん

邦枝 完二

Leggi おせん di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.074 caratteri · 148 schermate

Aozora Bunko

――」

「持ってはいないとおいいだろう。ふふふ。やっぱりお前は、あたしの手前をつくろって、根もない嘘をついたんだの、おおかた好きな男に、会いに行った帰りであろう。それと知ったら、なおさらこのまま帰すことじゃないから、観念おし」

「あれ若旦那。――」

「いいえ、放すものか、江戸中に、女の数は降る程あっても、思い詰めたのはお前一人。ここで会えたな、日頃お願い申した、不動様の御利益に違いない。きょうというきょうはたとえ半時でもつき合ってもらわないことにゃ。……」

押えた袂を振り払って、おせんが体をひねったその刹那、ひょいと徳太郎の手首をつかんで、にやり笑ったのは、傘もささずに、頭から桐油を被った彫師の松五郎だった。

「若旦那、殺生でげすぜ」

「ええ、うるさい。余計な邪間だてをしないで、引ッ込んでおくれ」

「はははは。邪間だてするわけじゃござんせんが、御覧なせえやし。おせんちゃんは、こんなにいやだといってるじゃござんせんか。若旦那、色男の顔がつぶれやすぜ」

過日の敵を討ったつもりなのであろう。松五郎はこういって、髯あとの青い顎を、ぐっと徳太郎の方へ突きだした。

六