Classici giapponesi con furigana
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おもかげ
おもかげ
山本 周五郎
Leggi おもかげ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.242 caratteri · 21 schermate
と云う手紙をたびたびさしあげた、そういうときにはいつも、「叔母さまがお厳しすぎるので悲しい」と書いてあげたけれど、父からはきまって、「さむらいの子はどんなに厳しく育てられても、厳しすぎるなどとは云わないものだ、父が江戸へおいでと云ってやるまでは、叔母さまの申しつけをよく聞いて、どんなにもよい子に成長しなければならない――」そういうお返事が来た、いつ来るお返事もおなじことしか書いてないので、正之助はだんだんお手紙をさしあげるのがつまらなくなり、やがて定ったご挨拶をお送りするほかには、おたよりをさしあげることも稀になってしまった。
月日が経つにしたがって、正之助は、学問も武芸も眼だって進みだした。ことに鳥取藩は学問がさかんで、どの町の辻に立っても素読の声が聞えると云われるくらいだった、町家でもそれほどなので、武家はなおさら、ずいぶんぬきんでた秀才も多かったが、正之助はそのなかでもすぐれた者に数えられるようになった。けれど叔母さまは口ぐせのように、
「かた田舎で少しくらい秀才と云われて慢心なすってはいけません。いつかは江戸へおいでなさるのです、お江戸には日本じゅうの秀才が集るのですから、もっともっと勉強なさらなければ笑われます」