Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

Leggi お律と子等と (おりつとこらと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.195 caratteri · 51 schermate

Aozora Bunko

ああ始終苦しくっちゃ、――」

叔母は火箸を握ったまま、ぼんやりどこかへ眼を据えていた。

「戸沢さんは大丈夫だって云ったの?」

洋一は叔母には答えずに、E・C・Cを啣えている兄の方へ言葉をかけた。

「二三日は間違いあるまいって云った。」

「怪しいな。戸沢さんの云う事じゃ――」

今度は慎太郎が返事せずに、煙草の灰を火鉢へ落していた。

「慎ちゃん。さっきお前が帰って来た時、お母さんは何とか云ったかえ?」

「何とも云いませんでした。」

「でも笑ったね。」

洋一は横から覗くように、静な兄の顔を眺めた。

「うん、――それよりもお母さんの側へ行くと、莫迦に好いがするじゃありませんか?」

叔母は答を促すように、微笑した眼を洋一へ向けた。

「ありゃさっきお絹ちゃんが、持って来た香水を撒いたんだよ。洋ちゃん。何とか云ったね? あの香水は。」

「何ですか、――多分床撒き香水とか何んとか云うんでしょう。」

そこへお絹が襖の陰から、そっと病人のような顔を出した。

「お父さんはいなくって?」

「店に御出でだよ。何か用かえ?」

「ええ、お母さんが、ちょいと、――」

洋一はお絹がそう云うと同時に、早速長火鉢の前から立ち上った。