Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

Leggi お律と子等と (おりつとこらと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.195 caratteri · 51 schermate

Aozora Bunko

「僕がそう云って来る。」

彼が茶の間から出て行くと、米噛みに即効紙を貼ったお絹は、両袖に胸を抱いたまま、忍び足にこちらへはいって来た。そうして洋一の立った跡へ、薄ら寒そうにちゃんと坐った。

「どうだえ?」

「やっぱり薬が通らなくってね。――でも今度の看護婦になってからは、年をとっているだけでも気丈夫ですわ。」

「熱は?」

慎太郎は口を挟みながら、まずそうに煙草の煙を吐いた。

「今計ったら七度二分――」

お絹は襟に顋を埋めたなり、考え深そうに慎太郎を見た。

「戸沢さんがいた時より、また一分下ったんだわね。」

三人はしばらく黙っていた。するとそのひっそりした中に、板の間を踏む音がしたと思うと、洋一をさきに賢造が、そわそわ店から帰って来た。

「今お前の家から電話がかかったよ。のちほどどうかお上さんに御電話を願いますって。」

賢造はお絹にそう云ったぎり、すぐに隣りへはいって行った。

「しょうがないわね。家じゃ女中が二人いたって、ちっとも役にゃ立たないんですよ。」

お絹はちょいと舌打ちをしながら、浅川の叔母と顔を見合せた。

「この節の女中はね。――私の所なんぞも女中はいるだけ、反って世話が焼けるくらいなんだよ。