Classici giapponesi con furigana
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おとうさん
お父さん
林 芙美子
Leggi お父さん (おとうさん) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.548 caratteri · 76 schermate
男の子はびっくりしたような顔をしていましたが、急にあかい顔をして「ありがとう」といいました。陸橋みたいになっているところの、みはらしのいい小さい空地へ三人は歩きました。
「ここで少しやすんで行こう」
こんなときの金井君は、とても同情ぶかくて、何だか一生懸命なのです。
「君、電車へ乗るお金ないの」
金井君がたずねました。
「金なんかないよ」
男の子はまだ乾パンをたべません。僕は何も持っていないけれど、お金なら二円ほど持っているのでやってもいいと思いました。
せまい空地にはつつじが咲いていました。白と赤のつつじがほこりっぽく咲いています。男の子は石の台に腰をかけて、よごれた手拭で汗をふきました。
「君、どこでお家が焼けたの?」
「本所緑町、去年の三月九日だ」
「学校は‥‥」
「五年きりでやめたのさ。うちは貧乏だから‥‥おとうさんはサイパンで戦死したし、おかあさんと赤ん坊は本所の区役所の前で別れたきり、だから僕一人になったのさ‥‥」
「どうして桶屋なんかに行ったの」
「人が連れて行ったから」
「おばあさんのところへなぜ早く行かなかったの……」
「おばあさん、いくども深谷に来てくれたんだけど、桶屋なんてつまらなくなって、おばあさんのところへ行くのさ」