Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しじみがし

しじみ河岸

山本 周五郎

Leggi しじみ河岸 (しじみがし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.438 caratteri · 51 schermate

Aozora Bunko

お絹の眼に警戒の色があらわれた。

「そうじゃなかったのか」と律之助はいった。

「どうしてですか」とお絹はいった。

「知りたいか」と彼はいった、「知りたくなければはなしはべつだ、おまえは自分からお仕置を望むくらいなんだから、親や弟は、乞食になろうと、飢死にをしようと構わないかもしれない」

お絹の顔が歪んだようにみえた。しかしなにもいわなかった、律之助も黙って暫く待ち、それから静かに立ちあがった。

「待って下さい」とお絹がいった。

律之助は構わず歩きだそうとした。

「待って下さい」とお絹が叫んだ。

律之助は振返った。

「お父つぁんや直がどうかしたんですか」

「聞きたいか」

「旦那はお父つぁんや直にお会いになったんですか」

「会った」と彼はいった、「まだ長屋にいることはいたからな」

「まだって、――どういうわけですか」

「わからないのか」

お絹は黙った。律之助はまだ立っていた。

「親は寝たっきりの病人、弟は自分のことさえ満足にできない」と彼はいった、「それで稼ぎ手のおまえがいなくなって、あとがどうなるかわからないのか」

お絹はこくっと唾をのんだ。律之助は立ったままで、お絹を見おろした。