Classici giapponesi con furigana
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しじみがし
しじみ河岸
山本 周五郎
Leggi しじみ河岸 (しじみがし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.438 caratteri · 51 schermate
「長屋の者たちに人情があったって」と彼は続けた、「みんな自分たちの暮しに追われている連中だ、雨が四五日降れば、自分の子に食わせることもできなくなる連中だ、十日や半月なら米味噌くらい貢ぐこともできるだろう、しかし、――五十日も七十日も、そんなことが続くかどうか、おまえにはよくわかってる筈じゃないか」
「それじゃあ」とお絹がいった、「お父つぁんや直は、どこかよそへゆくんですか」
「よそへだって、――」
「そうじゃないんですか」
「おまえは」律之助は坐った、「二人が閑静な田舎へでもいって、暢気に遊んで暮せるとでも思っているのか」
お絹の顔がひきしまり、律之助を見あげる眼はおちつきを失って、不安そうな色を帯びてきた。
「長屋を出ることは慥かだよ」と彼はいった、「また、いざり車ぐらいは、長屋の者たちが拵えてくれるようだ、直次郎だって、いざり車を曳くことぐらいはできるからな」
「嘘です」お絹が叫んだ、「そんなことがあるもんですか」
「どうして、――」
お絹は黙った。
「どうして嘘なんだ」と彼はいった、「あの二人になにかほかのことができると思うのか、寝たっきりの病人を抱えて、直がちゃんと稼いでゆけるとでも思うのか、――冗談じゃない、直にはいざり車を曳くことはできるだろう、一文めぐんでくれ、ぐらいのこともいえるかもしれない、雨の降るとき