Classici giapponesi con furigana
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それからそれ
それからそれ
宇野 浩二
Leggi それからそれ di 宇野 浩二 (うのこうじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4848 caratteri · 10 schermate
唯、有明山が殆ど全く見えたのが一つの慰めだった。有明山は別名信濃富士と呼ばれる通り美しい優しい姿をしている。
信濃なる有明山を西に見て心ほそのの道をいくめり
これは西行の歌であるが、この山が見えた時、直木にこういう歌があるよ、と云うと、「西行らしい歌だな、」と彼が云ったことを思い出す。
私たちが大町に着いた時は小雨が降っていた。その晩、土地の妓を呼ぶと、(宿屋の番頭が二人か三人かと云うと、直木は見本のつもりだから一人でいいと云ったことを思出す、)妓の大きな島田髷に白い粉のようなものがかかっているので、私が「君の髷に白い粉のようなものがついているよ、」と云うと、妓は「雪ですよ」と答えた。
「粉雪か」と云って直木は微笑した。これは直木を知っている人だけにしか分らないが、直木の微笑は実に可愛い嫌味のない善良な純な無類の微笑であった。俳優(例えば中村鴈治郎の目)が際立って彼の芸を生かす場合、『目千両』という言葉がある。その言葉を捩って云うと、直木は『微笑千両』であった。直木を思出すと、私はいつもこの『微笑千両』の直木の顔を思出す。――
この時、私たちは一週間近く晴れる日を待ったが、(大町が曇っているのに松本の方の空が晴れていることがしばしばあったので、)とうとう、晴れて、鹿島槍岳、爺ヶ岳、蓮華岳等の所謂北アルプスの諸山