Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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それから

それから

夏目 漱石

Leggi それから di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.794 caratteri · 347 schermate

Aozora Bunko

老人は苦笑を禁じ得なかった。

「どうして」と聞いた。

「つまり食う為に働らくからでしょう」

老人にはこの意味が善く解らなかった。

「何か面白くない事でも遣ったのかな」と聞き返した。

「その場合々々で当然の事を遣るんでしょうけれども、その当然がやっぱり失敗になるんでしょう」

「はああ」と気の乗らない返事をしたが、やがて調子を易えて、説き出した。

「若い人がよく失敗というが、全く誠実と熱心が足りないからだ。己も多年の経験で、この年になるまで遣って来たが、どうしてもこの二つがないと成功しないね」

「誠実と熱心があるために、却って遣り損うこともあるでしょう」

「いや、先ないな」

親爺の頭の上に、誠者天之道也と云う額が麗々と掛けてある。先代の旧藩主に書いて貰ったとか云って、親爺は尤も珍重している。代助はこの額が甚だ嫌である。第一字が嫌だ。その上文句が気に喰わない。誠は天の道なりの後へ、人の道にあらずと附け加えたい様な心持がする。

その昔し藩の財政が疲弊して、始末が付かなくなった時、整理の任に当った長井は、藩侯に縁故のある町人を二三人呼び集めて、刀を脱いでその前に頭を下げて、彼等に一時の融通を頼んだ事がある。