Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たちあなひめ

たちあな姫

菊池 寛

Leggi たちあな姫 (たちあなひめ) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.540 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

つい昨日迄は、内親王であった人達が、名もない過激派の番兵の為に、辱しめを受けた上に、豚の如く撲殺されたと云うことは、何う考え直しても諦めが付きませんでした。『露国の一億に近い民衆が、自由を得る為の犠牲だ』と、考え直して見ましたが、ロマノフ家の専制に少しも関係のない女性が、生命ばかりでなくその貞操迄も蹂躙さるゝと云うことは、何う考えても忍び得ないことだと思いました。今度の戦争の為には、幾百万人と云う人間が死んで居る。その内、二人や三人の人間が、帝王の血を持って居ようが居まいが、何でもないではないかとも、思い直して見ました。が、何故、之等の内親王が、戦争で死んだ者の中で、一番残酷な死方をしなければならなかったのでしようか。こう考えて来ると、私の胸の中の怏々たる憤は、何うしても抑えることが出来ませんでした。

私は、一緒に連れ立って居る妻が、何かと買物の話をするのを聴き流しながら、何うかして不快な憤に対する排け口を、見出そうとしましたが、それは排け口のない憤でありました。私は、妻にもその記事の内容を話して、憤を配けようと思いましたが、何うしてもそれが口に出ないのです。