Classici giapponesi con furigana
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たましいはいきている
たましいは生きている
小川 未明
Leggi たましいは生きている (たましいはいきている) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 4290 caratteri · 9 schermate
わたしは、その日を忘れることができません。いままで、たのしかった、家の中は、たちまち笑いが消えてしまって、兄は、自分の本箱や、机のひきだしを、片づけはじめました。
「いけば、いつ帰るかわからないから、ハーモニカを正ちゃんに、あずかってもらうかな。」
こうきくと、わたしは、兄の気持ちを考えて、しぜんと涙がわきました。
「にいさんが、帰るまで、なんでも、そのままにしておくよ。」
「いや、もっと戦争が、はげしくなれば、この家だって、どうなるかしれんものね。」
兄は、無事で帰れたなら、また勉強をはじめるつもりだったのでしょう。英語の辞書も、いっしょに渡しました。
しかし、兄は、それぎり帰ってきませんでした。兄の船は、南方へいったといううわさでしたが、出発後、なんのたよりもなかったのです。
わたしは、海辺に立って、はるかな水平線をながめて、ハーモニカを吹きました。入り日の前の空に、さんらんとして、金色のししのたてがみのような雲や、また、まっ赤な花のような雲が、絵模様のように、飛ぶことがありました。兄は、こんなようなたそがれが、大好きであったと思うと、いまごろ、どこかの島で、この空を見てるのでなかろうかと、ひとりでに、目の中のくもることがありました。