Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つぼみ

つぼみ

宮本 百合子

Leggi つぼみ di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.918 caratteri · 44 schermate

Aozora Bunko

胸がドキドキ云い、頭はがんがんするし耳まではやす様に鳴って居る。

ぶっつける様につっぷした。宝丹香いがプーンと鼻をおそう。目の前にきたならしい体をさらけ出して居る壁を見ると自分の体をぶっつけてこわしてしまいたいほど重っくるしいさえぎられた様な感じがする。

目をつぶって顔を抱えて……段々心がしずかになって来ると一緒にやたらむしょうにかんしゃくを起したあとの淋しさがたまらないほど迫って来る。口の中で、

トウレの君のかたり草

誠かはらで身を終へし

愛人がいまはにのこしたる

黄金のさかづきまもりつゝ

こんな事をうたって居た。おだやかな気持にかえってあの帝劇で見た時のグレートヘンの着物、声、口元そんな事を思い出して居た。そうすると又小っぽけな小供達がけんかをはじめた。あの泣き声、叱る声、わめく声、又それをきくとかんしゃくの虫がうごめき出すと一緒に痛みが歯の間に生れる。こんな一寸した下らない事で又私の頭はごっちゃごっちゃにかきまわされてしまった。居ても立っても居られない。

私は柱にドスンドスンと体をぶっつけながら涙をこぼして居る。

「又一日ねころんで居なくっちゃあなるまい、子供なんて……、どうしたってすきになれるものか……」