Classici giapponesi con furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Leggi つゆのあとさき di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.725 caratteri · 148 schermate
」
「あら。おじさん。そんな事……。わたしの方がいくらお世話になったか知れませんわ。こうして一人でやって行けるようになったのも元はといえば、みんなおじさんのおかげじゃアありませんか。始め事務員になったのも、おじさんのおかげだし……。それから段々いろいろな事を覚えて……。方々の待合や何かの様子を覚えたのもやっぱりおじさんのおかげですわ。」
「はははは。今夜のビールはわるい事を教えてもらった御礼か。それなら、おじさんも遠慮せずに御馳走になろう。あの時分商売人の京子がびっくりしたくらいだからな。今はたいしたもんだろう。」
「割合にそうでもない事よ。あの時分会社の方には随分おちかづきになったわねえ。みんなどうなすってしまったんでしょう。カッフェーでもお見かけした事がありません。」
「そうか。みんな相応に年をとっていたからな。それにあの会社もつぶれてしまったから、窮っているのはおればかりでもないんだろう。」
「おじさんなんか。まだまだそんなに老込む年じゃないわ。六十になっても、いやになるほど元気な人があってよ。」と君江はその実例に松崎博士の事を語ろうとしてそのまま黙ってしまった。