Classici giapponesi con furigana
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はたしじょう
はたし状
山本 周五郎
Leggi はたし状 (はたしじょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.525 caratteri · 39 schermate
理由はもちろん一つしかない、藤島としのとの問題に触れたくないからだ。話はきっとそこへゆくだろうし、手紙にもその事が書いてあるだろう――初めの一通がそうであった――第二にはそれは耐えられなかった、かれら二人については古い想い出さえ厭わしかった。もっと時間が経って、傷がまったく癒え、気持がすっかり平静になるまでは、少しでも二人を連想させることは絶対に避けたかったのである。
知人に会いたくないので、城へも安土門から出入りした。御文庫は松の丸と呼ばれる二の曲輪にあって、そこからは少しまわらなければならないが、大手や乾門のように知友に会う心配は殆んどなかった。
千久馬はそれに気づいたのだろう、その日、下城して門を出たところでうしろから追いついて来た。
「あんなに呼んだのに聞えなかったのかね」
激しい息をしながら、千久馬は肩を並べて歩きだした。
「いやわかってる、なにも云わなくてもいいよ」彼は第二を遮って云った、「――誰にも会いたくない気持はわかってるんだ、頑強なのには驚いたけれど、……でもおれにはよくわかっていたんだよ」
「まことに済まないが」
第二は低い声で呟くように云った。