Classici giapponesi con furigana
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はたしじょう
はたし状
山本 周五郎
Leggi はたし状 (はたしじょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.525 caratteri · 39 schermate
六
「――おれは、はたしあいは不賛成だ」
「彼はおれに申し込むのか」
「いや、彼にはそれはできない」千久馬の額が白くなった、「――彼は受ける立場にいるんだから、そうじゃないか」
「ではおれに申し込めというのか」
こう云いながら、第二はつい先刻の英之助の言葉に気づいた、――おれは挑まれた決闘を逃げるほど腰抜けではない。
「わかった」第二は頷いて云った、「――済まないがはたし状を書くから、あとでもういちど来て呉れないか、彼に届けて貰いたいし、それに、よかったら介添役も頼みたいんだが」
「いいとも、おれで役に立つことならなんでもするよ、ではあとで来る」
六
その日は定刻を二時間も過ぎてから下城した。万一のばあいを考えて、いちおう仕事の手順を助手たちに教える必要があったから。気持はおちついていた、躯じゅうに力の充実が感じられ、頭も快く緊張して、ずいぶん久方ぶりに「生きている」という現実感のある時間を過した。……まる三年以上も、彼を取巻き、押えつけ、閉籠めていたもの、どす黒く重苦しい壁のようなものがはたし状を書いた刹那に崩れた。音が聞えるかと思うほどみごとに崩れ去って、にわかに明るい光りがさしこみ、新しい香ばしい空気がながれ漲るように思えた。