Classici giapponesi con furigana
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はたしじょう
はたし状
山本 周五郎
Leggi はたし状 (はたしじょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.525 caratteri · 39 schermate
姉妹は屋敷町を避けて諏訪明神の境内へいった。社殿は小さいが古い杉の樹立があり、伊※(「田+比」、第3水準1-86-44)川の流れに臨んでいる。月のいい晩であったが、境内へはいるところで八木千久馬に出会った。彼は「泳ぎに来たのだが」などといって、二人と一緒に川の岸まで付いて来て、そこでとりとめのないことをいろいろ話した。妹のみよは千久馬を嫌っていたので、それとなく側を離れ、社殿のほうへ歩いていった。すると千久馬は、――その機会を待っていたのだろう――突然しのを抱き緊めて、川岸の灌木や蘆の繁っているところへ引摺ってゆき、押倒して、しのの唇へ、頬へ、いたるところへ狂ったようにくちづけをした。
あまりに思いがけなかった。しのは声を出すこともできず、眼が眩んだようになって、ただ、自分は殺される、殺される、と思ったそうである。
妹の呼ぶ声が聞えたので、千久馬はすぐにとび起きた。しのは身動きもできなかった。彼は荒い呼吸をしながらしのを援け起こし、しどろもどろに云いわけをした。――何年もまえから好きだったとか、恋していたとか、そして、こんなことになった以上は責任はとる、貴女としてももう今泉へは嫁にはゆけないであろう、だから自分が改めて結婚を申し込むつもりである。