Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひとごろし

ひとごろし

山本 周五郎

Leggi ひとごろし di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.607 caratteri · 45 schermate

Aozora Bunko

と云って昂軒はそこへ坐った、「腹はへりっ放しだし眠れないし、寝てもさめても人殺し人殺し、しかも尋常に勝負をしようとはしない、こんな茶番狂言には飽き飽きした、おれはここで腹を切る」

昂軒は着物の衿を左右にひろげ、脇差を抜いた。

「ちょっと」六兵衛は片手を差し出した、「それはちょっと待って下さい」

「なんだと」

「そうそっちのお手盛りで片づけられては困ります」

「お手盛りとはなんだ」

「おまえさんの勝手に事を片づけられては困るということです」と六兵衛が云った、「ここに私という討手がいるんですからな」

「だが、刀を抜いて勝負する気はない、そうだろう」

それが私の罪ですか、とでも云うふうに六兵衛は肩をすくめた。

「おれは誤った」昂軒は頭を垂れ、しんそこ後悔した人間のような調子で、しみじみと云った、「おれも誤ったし、世間の考えかたも誤っている、おれの故郷は常陸の在で、何代もまえから和昌寺という寺の住職をしてきた、だがおれはそんな田舎寺で一生を終る気にはなれなかった」

都へ出て人にも知られ、あっぱれ古今に稀なる人物と、世間からもてはやされるような人間になりたかった。常陸はもともと武芸のさかんな国だし、名人上手といわれる武芸者を多く出している。