Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひとつのひ

ひとつの火

新美 南吉

Leggi ひとつの火 (ひとつのひ) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N4. Tocca una parola per il significato.

N4 · base · kanji e kana moderni · 831 caratteri · 2 schermate

Aozora Bunko

わたしが子どもだったじぶん、わたしの家は、山のふもとの小さな村にありました。

わたしの家では、ちょうちんやろうそくを売っておりました。

ある晩のこと、ひとりのうしかいが、わたしの家でちょうちんとろうそくを買いました。

「ぼうや、すまないが、ろうそくに火をともしてくれ。」

と、うしかいがわたしにいいました。

わたしはまだマッチをすったことがありませんでした。

そこで、おっかなびっくり、マッチの棒のはしの方をもってすりました。すると、棒のさきに青い火がともりました。

わたしはその火をろうそくにうつしてやりました。

「や、ありがとう。」

といって、うしかいは、火のともったちょうちんを牛のよこはらのところにつるして、いってしまいました。

わたしはひとりになってから考えました。

――わたしのともしてやった火はどこまでゆくだろう。

あのうしかいは山の向こうの人だから、あの火も山をこえてゆくだろう。

山の中で、あのうしかいは、べつの村にゆくもうひとりの旅人にゆきあうかもしれない。

するとその旅人は、

「すみませんが、その火をちょっとかしてください。」

といって、うしかいの火をかりて、じぶんのちょうちんにうつすだろう。