Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みさごのすし

みさごの鮨

泉 鏡花

Leggi みさごの鮨 (みさごのすし) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.198 caratteri · 47 schermate

Aozora Bunko

一

「旦那さん、旦那さん。」

目と鼻の前に居ながら、大きな声で女中が呼ぶのに、つい箸の手をとめた痩形の、年配で――浴衣に貸広袖を重ねたが――人品のいい客が、

「ああ、何だい。」

「どうだね、おいしいかね。」

と額で顔を見て、その女中はきょろりとしている。

客は余り唐突なのに驚いたようだった。――少い経験にしろ、数の場合にしろ、旅籠でも料理屋でも、給仕についたものから、こんな素朴な、実直な、しかも要するに猪突な質問を受けた事はかつてない。

ところで決して不味くはないから、

「ああ、おいしいよ。」

と言ってまた箸を付けた。

「そりゃ可い、北国一だろ。」

と洒落でもないようで、納まった真顔である。

「むむ、……まあ、そうでもないがね。」

と今度は客の方で顔を見た。目鼻立は十人並……と言うが人間並で、色が赤黒く、いかにも壮健そうで、口許のしまったは可いが、その唇の少し尖った処が、化損った狐のようで、しかし不気味でなくて愛嬌がある。手織縞のごつごつした布子に、よれよれの半襟で、唐縮緬の帯を不状に鳩胸に高くしめて、髪はつい通りの束髪に結っている。

これを更めて見て客は気がついた。