Classici giapponesi con furigana
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めおとちょう
めおと蝶
山本 周五郎
Leggi めおと蝶 (めおとちょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.977 caratteri · 47 schermate
良平は足を止めて、眼をしかめながら、不審そうにこちらを見た。
「お待ち申しておりました」信乃はこう云って良人を見あげた。良平にはまだわからないらしい、俯向いてそっと頭を振り、それから改めて信乃を見て、そうしてとつぜん、激しく顔を歪めた。
「――信乃、どうするのだ」
「ごいっしょにお供を致します、あなたのお支度も持ってまいりました、どうぞお着替えあそばして」
「――離別状は届かなかったのか」
「わたくしが至らなかったのです、わたくしが、身勝手な、いけない女でございました、でもこれからはなおしてまいります、きっと良い妻になれると思います、お願いでございます、あなた、どうぞ信乃をお伴れ下さいまし」こう云って袂で顔を掩い、信乃は肩を顫わせて嗚咽した。……良平は黙っていた。しかし信乃の云うことはわかったのだろう、暫らくして、そっと独り言のように、
「――伴れていっては、おまえを不幸にする、拒むのが本当だ、拒まなくてはいけない、けれどもおれには拒めない、……おれはおまえにいて貰いたい、この世の中で、おれにはおまえが唯ひとりの味方なんだ、信乃、……いっしょに来て呉れるか」