Classici giapponesi con furigana
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ゆずゆ
ゆず湯
岡本 綺堂
Leggi ゆず湯 (ゆずゆ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.255 caratteri · 27 schermate
それから水船のそばへたくさんの小桶をならべて、真っ赤にゆでられた胸や手足を石鹸の白い泡に埋めていた。それを見るともなしに眺めながら、わたしはまだ風呂のなかに浸っていた。表には師走の町らしい人の足音が忙がしそうにきこえた。冬至の獅子舞の囃子の音も遠く響いた。ふと眼をあげて硝子窓の外をうかがうと、細い露地を隔てた隣りの土蔵の白壁のうえに冬の空は青々と高く晴れて、下界のいそがしい世の中を知らないように鳶が一羽ゆるく舞っているのが見えた。こういう場合、わたしはいつものんびりした気持になって、なんだかぼんやりと薄ら眠くなるのが習いであったが、きょうはなぜか落ちついた気分になれなかった。徳さんの死ということがわたしの頭をいろいろに動かしているのであった。
「それにしてもお玉さんはどうしているだろう。」
わたしは徳さんの死から惹いて、その妹のお玉さんの悲しい身の上をも考えさせられた。
お玉さんは親代々の江戸っ子で、お父さんは立派な左官の棟梁株であったと聞いている。昔はどこに住んでいたか知らないが、わたしが麹町の元園町に引っ越して来た時には、お玉さんは町内のあまり広くもない露地の角に住んでいた。