Classici giapponesi con furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Leggi わが町 (わがまち) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.840 caratteri · 186 schermate
「……さあ?」
「さあとはえらいまた頼りない返辞やな」
笑って、ぽんと君枝の肩を敲き、
「――いまに君に運が向いて来るかも判れへんぜ。けっ、けっ、けっ……」
主任は抜けた歯の間から、けったいな笑いをこぼした。
君枝はますます訳がわからなかったが、帰り途、朋輩の春井元子の口からきいて、はじめて、主任が自分に大西質店へ行けと言った意味などが腑に落ちた。
「昨日あんたの留守中に、あそこの御寮人が事務所へ来やはったんよ。うち運よく帰ってたさかい傍できいてたらね……」
「……御寮人の言うのには、――藪から棒にこんな話をするのは何だけれど、実はお宅に勤めていらっしゃる方で、色の白い、小柄な、愛嬌のある、……ああ、佐渡島君枝さんとおっしゃるのですか、……ところでその君枝さんのことですが、ざっくばらんに申せば、うちの倅(せがれ)がお恥かしいことに君枝さんに、……なんといってよいやら、……とにかく、まあ見染めたというのでしょうか……」
「……しとやかで、如何にも娘さんらしゅうて、そのくせ、働いてる動作がきびきびして、とても気持がええ――贅らなあかへんし、――そこを息子さんが見染めたと言やはるのんよ……」