Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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わがまち

わが町

織田 作之助

Leggi わが町 (わがまち) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.840 caratteri · 186 schermate

Aozora Bunko

喫茶店の前まで来ると、

「あんた、ちょっと珈琲のんで行けへん? 今日は奢ってもらわな損や」

元子が言い、さきに立ってはいった。

君枝はちらっと他吉の顔を想い泛べたが、贅沢といっても、月に一度だからと珈琲二杯分三十銭の散財を決心して、随いてはいった。

向い合って、腰を掛けると、元子は喋り続けた。

「ほんまに奢ってもらうし。――というのはな、今日あんたがあの質屋へ行ってちょっとしてから、主任さんとこイ御寮人さんから電話が掛って来たそうやねん」

「ふーん」

「頼りない返辞やな。聴いてんのんか、あんた。よう聴きぜや。その電話いうのがね――今日はわざわざ寄越していただいて、ありがとう、いずれお礼かたがた挨拶に伺うけど、ほんまに思った以上の良い娘さんで、すっかり感心したちゅうて、掛って来たんやし」

「嘘ばっかし」

「そない照れんかてええやないの。ああ、あんたはええな。質屋いうたら、あんた、お金が無かったら、でけん商売やろ? もうじきあんたはお金持ちの奥さんや。ええなあ。うち、入れに行ったら、沢山(ぎょうさん)貸してや。いまから頼んどくし」

そこで元子は声をひそめ、

「――ここでの話やけどな、うちの恋人新聞記者やけど、月給四十円しか貰(もろ)てへんねん。