Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
わがまち
わが町
織田 作之助
Leggi わが町 (わがまち) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.840 caratteri · 186 schermate
しかし今ではもうそんな騒動もなし、それに維康さんの御両親とも死んでしまいはったし、誰も二人のことに反対する権利のある人はないし、なんでもつい此間(こないだ)籍を入れはって、仲良うやったはる言うことです。この春にも、二ツ井戸の天牛の二階で維康さんが浄瑠璃語りはって、うち招待券もろて見に行たら、蝶子はんがその三味線を弾かはって、仲の良えとこおましたわ」
君枝はちょっと赧くなった。
「しかし、維康さんにはお子さんがあるやろ? その子ひきとったはんの?」
「さあ、それは……」
君枝はもうそれ以上蝶子のことに触れたくないという顔をした。
実は、柳吉の子供はもう女学校を卒業する年頃だが、死んだ母親から、父親は悪い女に奪われたと言いきかせられていた言葉が耳に残って、蝶子を良くは思わず、どうしても柳吉の妹の傍をはなれようとしないのだった。ひとつには蝶子や柳吉の商売をきらっているせいもあった。
それが柳吉の頭痛の種だった。養子に取られてしまった財産にはもう未練がないとしても、さすがに娘のことは忘れかねて、浄瑠璃の稽古もそんな心のふさぎを忘れるためであるかも知れなかった。