Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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アンゴウ

アンゴウ

坂口 安吾

Leggi アンゴウ di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.249 caratteri · 23 schermate

Aozora Bunko

私が最後に見たものは、焼ける空、悪魔の空、ねえ、子供は私をすりぬけて、何か運んで、すれちがっていたはずなのに、私はその姿を見ていないのよ。ねえ、どうして見えなかったのよ。見ることができなかったのよ。ねえ、私はどうして、何も見ていなかったのよ」

「もう、いゝよ。止してくれ。悲しいことを思いださせて、すまない」

タカ子には見えるはずがなかったから、矢島は耳を両手でふさいで、ねころんだ。そして、もうこれ以上追求は止そうと思った。

然し、翌日になって別の気持が生れると、あれはあれであり、これはこれである筈、失明の悲哀によって秘密を覆う、それもタカ子の一つの術ではないかという疑い心もわいた。一枚のヌキサシならぬ証拠がある。魔性のような執念をもって火をくゞり良人の手にもどるという事実の劇しさは女の魔性の手管を破って、事の真相をあばいて然るべき宿命を暗示しているようにも思われた。

その日出社すると、昨日会った彼の蔵書の所有主から電話がきた。

「実はです」

声の主は意外きわまる事実を報じた。

「昨日申し上げればよかったのですが、今になって、ようやく思いだしたのです。あなたの昔の蔵書にですな、買った当時中をひらくと、どの本にも、頁の心覚えのような数字をならべた紙がはさんであったのです。