Classici giapponesi con furigana
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オフェリヤごろし
オフェリヤ殺し
小栗 虫太郎
Leggi オフェリヤ殺し (オフェリヤごろし) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.366 caratteri · 58 schermate
幡江は法水を振り向いて、その眼を凝然と見詰めていたが、泣くまいと唇を噛んでいるにも拘らず、やがて二筋の涙が、頬を伝って流れ落ちた。
それに、法水は静かに訊ねた。
「ねえ、何を泣いているんです。貴方のお父さんの行衛なら、僕はその健在を、断言してもいいと思いますがね。いいえ、大丈夫――十日の興業が終ってからでも、結構間に合うんですから。今朝の英字新聞で、僕の事を畏敬すべき――と云いましたっけね。だがそれは、一体どっちなんでしょうか。俳優としてか、それとも、探偵としての法水にでしょうか」
「ええ、お話したいのは父の事なんですけど」
幡江の瞳が、異様に据えられたかと思うと、みるみる全身が、はちきれんばかりに筋張って来た。「貴方は、いまの幕の亡霊を、淡路さんの二役だとお思いになりまして」
その亡霊と云うのは、云うまでもなく、ハムレットの父王の霊の事である。
所が、配役の際に、その亡霊役一つだけが余ってしまったので、止むなく法水は、台本を訂正しなければならなくなった。
と云って、王クローディアスに扮する、独逸人俳優ルッドイッヒ・ロンネは傍演出者を兼ねているのだし、レイアティズ役の小保内精一は、音声上役どころでないと云った訳で、よんどころなく亡霊の台詞を消し、ポローニアスの屍体を、幕切まで露わさないようにした。