Classici giapponesi con furigana
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オリンポスのかじつ
オリンポスの果実
田中 英光
Leggi オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) di 田中 英光 (たなかひでみつ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 75.277 caratteri · 147 schermate
出帆の銅鑼が鳴りだしたとき、ぼくは白いテエプを、その娘に投げてやりました。淋しい顔立が、人混みに揉まれ、船が離れて行けば、いっそう頼りなげに見える、そのぼんやりした瞳に、ぼくが、テエプを抛ろうとすると、その瞳は、急に濡れてみえるほど、生々と光りだした気がしました。この娘は、まだ十七で、帰りに寄航したときも逢いましたし、内地に子供らしい手紙を度々くれました。
あとで、船室に集まった皆が、ハワイでの収穫を話しあったとき、坂本さんが、ニヤニヤ笑いながら、ぼくとだぼ沙魚嬢のロオマンスを素ッ破抜きました。こんな巫山戯た話になると、みんなとても機嫌よく、森さんが、先ず、「ほう、大坂は、最近、大当りだな」とひやかせば、松山さん、「色男は違うな」と、大口開いて笑うし、虎さんは、「ドレドレ」とだぼはぜ嬢の写真をとって見ようとする。「俺にも貸せ」と梶さんが手を伸ばす。「待て、待て」と横から覗いていた沢村さんが怒る。あとは、ワアッと大笑いでした。
あなたとの友情も、こんなに巫山戯半分で、皆と共々に笑える余裕があったなら、あんなに皆から憎まれず、また、ぼくも苦しい想いをしなくても、済んだ、と思います。