Classici giapponesi con furigana
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ひきょうもの
カインの末裔
有島 武郎
Leggi カインの末裔 (ひきょうもの) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.876 caratteri · 52 schermate
「お前は全体本当のことがこの世の中にあるとでも思っとるのか」
父は息子の融通のきかないのにも呆れるというようにそっぽを向いてしまった。
「思ってはいませんがね。しかし私にはどうしても現在のようにうそばかりで固めた生活ではやり切れません。矢部という人に対してのあなたの態度なども、お考えになったらあなたもおいやでしょう。まるでぺてんですものね。始めから先方に腹を立てさすつもりで談判をするなどというのは、馬鹿馬鹿しいくらい私にはいやな気持ちです」
彼は思い切ってここまで突っ込んだ。
「お前はいやな気持ちか」
「いやな気持ちです」
「俺しはいい気持ちだ」
父は見下だすように彼を見やりながら、おもむろに眼鏡をはずすと、両手で顔を逆なでになで上げた。彼は憤激ではち切れそうになった。
「私はあなたをそんなかただとは思っていませんでしたよ」
突然、父は心の底から本当の怒りを催したらしかった。
「お前は親に対してそんな口をきいていいと思っとるのか」
「どこが悪いのです」
「お前のような薄ぼんやりにはわかるまいさ」
二人の言葉はぎこちなく途切れてしまった。彼は堅い決心をしていた。今夜こそは徹底的に父と自分との間の黒白をつけるまでは夜明かしでもしよう。