Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.236 caratteri · 43 schermate
見ると、佐伯氏の膝の上に英語の本が一冊のっている。キャラコさんが、おどろいて、たずねた。
「あなた、本がお読みになれるの」
佐伯氏は、悲しそうな微笑をしながら、
「私は、まず骨を折って点字で読みます。それから、その活字の本をこうして撫で廻しながら、この中に、あんなすぐれた事が書いてあるのかと感慨にふけるのです。……こうして頁の上をさすっていると、いろいろな文章がつぎつぎ記憶の中によみがえって来て、ちょうど眼で読んでいるような気持になれるのです。……未練だと思うかも知れないけれど」
このごろは、心ないことばかり口走って佐伯氏を悲しませる。これも、自分の感情が足りないせいだと思って、キャラコさんは、そっと唇をかんだ。それにしても、眼のことに触れられるのを、こんなにもいやがっているひとに、あなたの眼はもうだめなのか、などとたずねるのは、いかにも心ない仕業だと思ったが、死んだ気になって、切り出してみた。
「佐伯さん、あたくし、たったひとつ、おたずねしたいことがありますの」
佐伯氏は、ビクッとしたように、キャラコさんのほうへ顔をふり向けて、
「あらたまって、どうしたんです。