Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.767 caratteri · 54 schermate
コッフェルの蓋には、薄い褪紅色の木の実のようなものが山盛りになっている。……スープから食後の果物までのいろいろな喰べものが、蝋燭の光の中で鮮かな色をしておし並んでいた。丹沢の奥の、窓ガラスもないような破小屋の中に、こんなめざましいご馳走が並んでいるなどというのは、まるで、夢の中の出来事のようだった。
原田氏が、おびえたような顔で、
「これは、たいへんだ」
と、つぶやいた。
黒江氏は、感動して何かいいかけて、ひどく咳にむせんだ。
三枝氏は、小さな眼をパチパチさせながら呆気にとられたようにぼうぜんと食卓の上をながめていたが、顔をふりあげてキャラコさんの顔をみつめると、低い声でたずねた。
「これは、いったい、どうしたというご馳走なんですか?」
どういう手段と経過によって、こんな思いがけない結果に到達したのか、そこのところが知りたいという学者らしい好奇心を起こしたのだった。
キャラコさんは、額ぎわまであかくなって、夢中になって説明した。
「……分析皿の魚は川にいた虹鱒を、乾麺麭をくだいた粉にまぶして油で揚げたもので、このサラダは、沢に生えていた水芹を酢と油であえたものですわ」