Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.767 caratteri · 54 schermate
三枝氏が、納得しない顔をした。
「でも、こんな山ン中で、フライの油などあるわけはないが……」
「それはね、測量機械をふくオリーブ油を少々拝借したのですわ」
「ほほう。……それで、酢なんかは?」
「分析の実験にお使いになる酢酸を、ひとたらしほど拝借しましたの」
「なるほど!」
「いけませんでしたかしら……」
三枝氏は、へどもどしながら、
「いや、結構です、結構です。……いけないなんてことはない。毒薬でさえなければ、何を使ってくだすっても結構ですが、それはそうと、この蟹と海老の合の子のようなのは、いったい何者ですか」
「これはね、有名な蜊蛄よ。……日本の食通がひどく珍重するんですって。あたし、日本アルプスの山のホテルでいちどいただきましたわ。となりのテーブルにフランス人がいましてね、これが皿に盛って出ると、エクルビース、エクルビース! といって夢中になってよろこんでいましたわ。フランスでも、たいへんいきなものになっているんですって。……でも、どんなふうにお料理するのか知りませんから塩うでにしましたの。……それから、お砂糖がかかっているのは裏山の木苺で、手コップにはいっているのは山女魚のスープです。