Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.444 caratteri · 30 schermate
これだって、ずいぶん地味な仕事じゃなくて?」
つまらないことをいったと思ったが、もう、取りかえしがつかない。果して、緋娑子さんが、えらい勢いではねかえした。
「女性がみな、あなたのように動物化していいなら、はじめっから文化なんか必要なかったわけね。あなたのようなものの考え方こそ文化の敵なのよ。女性全体の恥辱だわ」
だんだんむずかしくなりそうなので、キャラコさんは、あわてて兜をぬぐ。
「あたしのために、女性全体に迷惑をかけては申し訳がないわ。あたしだけは、特別なんだと思って、ちょうだい」
緋娑子さんは、芝居がかった仕方で、西洋人のように肩をピクンとさせる。
「あたしもよ。……あたしも、きょう、あなたの古くさい観念論をうかがいに来たわけではないの。悦二郎や中橋とあたしの関係に、キッパリした結末をつけるために、あなたに、是非一役買っていただこうと思って、それでやって、来たわけ」
中橋というのは、叔母の沼間夫人の実家で、悦二郎氏はその家の三男である。
伯父の秋作などの同期生だが、すこしばかり変人で、日本の野鳥の研究に没頭し、渡りや繁殖の状態を調べるために、春は富士の裾野、夏は蓼科という工合に、年じゅう小鳥のあとばかり追っかけてあるいている。