Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.972 caratteri · 66 schermate
「でも、おしゃべりしながら詩をつくるってわけにはゆきませんわ」
「すると、つまり、私は詩作のお邪魔をしているってわけなんですね」
「ええ、まあ、そういったわけね。……それで、あなたのほうはどうなんです。身投げでもしにいらしたの?」
「身投げなら始末がいいが、私のやつは、こんなふうにのそのそ歩き廻らなければおさまらない病気なんです」
「夢遊病ってわけなのね」
「たしかにそれに近いようですね。……つまり、心の悩み、ってやつなんです」
「おやおや、たいへんだ。じゃ、あたしなんかにかまわないで、どんどん悩んで、ちょうだい。ここで拝見していますわ」
「まあ、しかし、ちょっと仲入りということにしましょう。お邪魔でなかったら、もうしばらく、ここへ掛けさせておいてください」
「ちっともかまいませんわ。どうぞ、およろしいだけ。……あたしは、あたしのことをしますから」
ピエールさんが、煙草に火をつける。男にしては、すこしやさしすぎる横顔が、瞬間、燐寸の灯影の中へ浮びあがって、また消える。
ピエールさんは、心の中のひそかな憂悶をおし隠そうというふうに、わざとらしくほほえんで見せて、
「私は、レエヌを気の毒な娘だと思っています。