Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.972 caratteri · 66 schermate
長絨氈はうすい空色で、明るい楓材を張りつめたこの船室にたいへんよく調和する。半開きになった扉の隙間から、まぶしいほど白い浴槽と、銀色のシャワーの管が見える。
キャラコさんは、枕の上で顔をまわしながら、ぜいたくな寝室の風景をゆっくりと楽しむ。薄紗の窓掛けの模様に見とれたり、熱心に小箪笥の彫刻をながめたりする。なんとなくいい気持で、うっとりとなる。
「このくらい趣味がいいと、ぜいたくだってそうすてたもんじゃないわね、結構だわ」
退役陸軍少将石井長六閣下のみごとな調教のおかげで、質素の趣味をたれよりも愛しているくせに、こんなぜいたくな部屋に寝ころんでいても、ちっとも不自然な感じがしない。自分がこの部屋にしっくり調和しているような気がする。それが、ふしぎだ。
(あたしの適応性は、すこし、妙ね)
毛布を鼻のところまでひきあげて、のびのびと長くなる。またうつらうつらとなる。寝ぼけ声で、こんなふうに、つぶやく。
「骨やすめ、って、英語でなんというのかしら。……ボーン・セッティングは、骨つぎか。……骨療法……まさか……」
おかしくなって、ひとりでクスクス笑いだす。
仏蘭西系のカナダ人のなかで第一のお金持ち、ジャン・アマンドさんのごうしゃな快遊船である。