Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.972 caratteri · 66 schermate
なにかゾッとするような野卑なところがあった。ぷんと酒臭い匂いがした。
「あたしに、なにか御用でしたの」
「そうです」
唇も動かさずに、ぶっきら棒にいうと、帽子へちょっと手をやって無造作な挨拶をして、
「僕ア、礼奴の兄の保羅ってもんです。……じつア、ちょっとお願いしたいことがあって……」
レエヌさんの兄さんの保羅……。そういえば、眼差しや眉のあたりが、美しいレエヌさんによく似ている。
(それにしても、あたしに用って、いったい、どんな事かしら……)
キャラコさんは、愛想のいい調子で、たずねた。
「……それで、あたしに、どんな御用?」
青年は、扉に背をもたせたまま、
「レエヌが、死にかけて、あなたに、逢いたがっているんです」
だいぶ酔っている。舌がもつれて、言葉のはしはしがよくききとれなかった。
「……ピエールと喧嘩をして快遊船を降りてから、身体を悪くして、横浜の根岸の家で、もう半月もずっと寝たきりになっているんですが、どうしたのか、この四五日前からしきりにあなたに逢いたがる。迎いに行って、ぜひいちど来てもらってくれと頼むんですが、知らないならいざ知らず、私もレエヌからきいてよく知っているのですから、あんなことのあったあとで、こんなお願いに出るのも、あまり虫がいいようで、てれくさくてしようがないから、今日も逢えなかった、今日