Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.972 caratteri · 66 schermate
といった言葉の意味が、説明もなしにそのままじかに胸にふれてくる思いだった。
キャラコさんは、やるせなくなって、逃げるようにオルガンのそばを離れて二階へあがって行き、足音を忍ばせながらレエヌさんの部屋へあがり込むと、そっと枕元に坐った。
レエヌさんは、熱が出てきたのらしく、眉の間に竪皺をよせ、苦しそうにあえぎながら、おぼろな声で囈言をいっていた。
「……お兄さん、……お兄さん、……また、陽が暮れかかってきたわ。……情けないわねえ。……ああ、なんて淋しいんだろう。……胸の空洞の中へ潮がさしてくるような。……闇が魂を包み込んでしまうような、この、淋しい不安な感じ。……子供のときから、いくど悩まされたことだったでしょう。……ねえ、お兄さん、あなたもそうだといいましたね。……なんという、あわれな兄妹……」
キャラコさんは、レエヌさんの手を執って、そっとゆすぶって見た。
「レエヌさん、……レエヌさん……」
レエヌは、ぼんやりと薄目をあけた。すっかり熱にうかされてしまって、譫妄状態に近いようなようすになり、空な視線をあてどもなく漂わせながら、のろのろした声で、切れぎれにつぶやきつづけるのだった。