Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.277 caratteri · 21 schermate
四半桶の秣と、ひと握りの糠しか食べていない、この餓じい馬にとって、それはまあ、なんという素晴らしい御馳走なのであろう! そしてまた、老人にとっても、それを喰べている自分の馬を眺めるということは、どんな有頂天な喜びであろう。
ほんのちょっとしたことだった。長人参の悪口さえいわなければ、馬も老人も、わけなくその喜びを味わうことができたのだった。
キャラコさんは、逆せあがったような気持になる。どんな卑劣なことをしてでも、馬と老人にその喜びを味わわせてやりたいと思って、気もそぞろになる。
キャラコさんが、そろそろと切りだす。
「……ねえ、おじいさん。……これは、ほんの譬えばなしですけど、だれか通りがかりのひとが、この馬さんを見て、すっかり気に入ってしまうとしますね」
「ああ、ありそうなことでござります」
「……それで、ご褒美になにか美味いものを、馬さんの口元へ差しつけたとしますね。……すると、この馬さんは、いったい、どうするかしら?」
「はい、それは、ものによるのでござります」
「すると、気にいったものなら、食べてもらえるわけなのね」
「かくべつ、遠慮するようなこともいたしますまい」