Classici giapponesi con furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Leggi キャラコさん di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.012 caratteri · 48 schermate
梓さんがすべって行ったあとだ。
それにしても、なんという広大な雪の世界だろう。涯しもない茫漠たる雪原がただ一面に栄光色に輝いて、そのすえは同じような色の空のなかへ溶けこんでいる。雪の大海原。しんとした蒼い光暈の中を、たった一人で進んで行くと、このまま月の世界へでも入って行ってしまいそうなふしぎな幻想に襲われる。
キャラコさんは、とりとめのない、蒼白い雪原の中で、さかんな雪煙りをあげながら緩傾斜のトレールをしゃにむにのぼって行った。
キャラコさんは、梓さんがこのくらいのことで自殺するはずがないと固く信じていた。しかしまだ人生の複雑な起伏をあまり多く経験していないので、こんな場合、感情がどんな昂揚のしかたをするものか、はっきりとわかりかねるところがあった。
梓さんは、房枝叔母さまを捨てた無情な愛人は、実は、チャーミングさんで、しかも、自分がそのひとの子供だということまで聞いてしまったのにちがいない。梓さんばかりではなく、この年ごろの少女にとっては、これは、たしかに致命的な打撃だったに相違ない。
キャラコさんは、梓さんのしっかりした気質に充分期待をかけているのだったが、打撃のひどさを考えると、その自信もゆらぎかける。