Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Leggi スウィス日記 (スウィスにっき) di 辻村 伊助 (つじむらいすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 216.275 caratteri · 410 schermate

Aozora Bunko

であった。

風は時々思い出したように吹きすさぶ。今日も山と云う山はすっかり見える、ただインテルラーケンからトゥーンへかけて、ちょうど湖のように雲が棚引いて、その厚い敷布の上に、ニーセンが置き物のように屹えていた。すぐ眼の下はクライネ・シャイデックで、ここから唾をしたら、山神の霊雨と麓の人達は思うであろう。グリンデルワルトは村はずれが見えるだけで、アイガーの蔭にかくれておる。

幸い、風は少し吹きやんで来たが、記念の撮影をする時分には、厚いハントシューに包まれた手先も凍って、思うように用えなかった、十一時に下りかける、然しまた、たまらなくなって、再び最高点の雪の上を歩きまわって見廻わした。

下り路は同じステップを踏んで降りるので、初めの中は余り恐ろしいとは思わなかった。只、困ったのは例の岩壁である、そして山登りは一人に限ると思った、私だけならどうにか注意して降りられるけれど、もし上から石か氷の塊でも落されれば、それを避ける余裕などはとても無い、私は日本の山岳にも随分ひどい場所のあるのを知っている。然し今初めて味わった苦い経験のように、怖気を振ったと云うのは、一歩辷らした場合がもう此の世の御別れで、その恐ろしさに加えるに気圧の減少である、殊に風立った冬の登山は、事実を白状するが、決して決して楽なものではなかっ