Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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スランプ

スランプ

夢野 久作

Leggi スランプ di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3161 caratteri · 7 schermate

Aozora Bunko

俳句、川柳が一時間に二十か三十、短歌でも十四五ぐらいはペラペラと出て来ますので、ノートが忽ち一パイになってしまいます。あとで読み返してみても感心するものが一つもないので、とうとう癇癪を起して、そのノートを道傍の糞溜の中に投込んでしまいましたが、今から考えても些しも惜しいとは思いませぬ。今でも十七八字か三十一二字並んでいるだけなら一時間に二十や三十は平気ですからね。西鶴の二万句も、こんな時に思い立ったんじゃないかと思うのは、すこし僭上でしょうか。

いずれにしても昨年の暮以来、私の頭が否、ペンが変調子を呈していることは、もはや疑う余地がありませぬ。書きたい材料がコンナにあって、書きたくて書きたくてウズウズしているのに、一行も書けないとなれば、その責任は当然、私のペンに在るに違いありませぬ。

私にはこうしたスランプの因って来るソモソモが薩張りわからないのです。書きたい事は山積していながら書けない。ペンを奪われて絶海の孤島に罪流されたような自烈度さ。つまらなさ。淋しさ。私は、これを私の老朽のせいとも、行詰まりのせいとも思いたくありませぬ。何よりも私のペンの我ままが、絶頂に達したものと考えるのが、今の私の気持ちに一番ピッタリしているのです。